幼いころから、絵を描いたり写真を撮ったりと、自分の手で何かを生み出すことが、いつもすぐそばにあったという、もりはるかさん。2020年より陶の創作活動を始めました。

想像の源は、愛猫のざらめちゃんとの出会いをきっかけだというもりさん。猫の陶器を中心とした作品の世界観が広がっていきます。さらに2匹目のちまきちゃんは、多頭飼育崩壊から保護されたことで、迎え入れられたそうです。
偶然のようでいて、どこか運命のようにも感じられるそれぞれの出会いが、いまの制作の根っこをやさしく支えています。
もりはるかさんのinstgramより
不思議さとあたたかさが同時に漂う、もりさんの作品。そこには、二匹の黒猫ちゃんたちと過ごす日々の気配が、静かに息づいています。ふとした仕草や、何気ないまなざしの記憶が、かたちを変えてそっと現れているようです。

以前は出版社でカメラアシスタントとして働かれていましたが、「撮る側」ではなく、自分の手でものづくりをしたいという気持ちが次第に強くなっていったもりさん。そんな中で出会った陶芸体験で土に触れたとき、「これを仕事にしたい」と自然に思えたことが、現在へと繋がっています。手のひらの中でゆっくりと応えてくる土の感触が、ご自身の感覚と重なった瞬間だったのかもしれません。
それから独学で制作を開始。図書館で普段は書庫に保管されている釉薬の専門書を取り寄せたりしながら、少しずつ知識を深めていきました。目に見えない変化を想像しながら焼き上がりを待つ時間もまた、制作の一部として積み重ねられていきます。
思い描いていた色に“出会う”までの時間は、決して偶然だけではなく、重ねてきた試みの数だけ必然に近づいていくものです。
現在の作品を象徴するやわらかなグリーンも、何百回もの試行錯誤の末に生まれた色味です。

その色には、時間と手間、そして静かな探求の跡が、幾重にも折り重なるように宿っています。
白とグリーンを基調とした作品たちは、おとぎ話の一場面を思わせるような佇まいをまとっています。そっとこちらを見つめる猫たちや、やわらかな陰影をまとった器たちは、長い物語の続きを知っているかのような静かな存在感を放ち、触れたときに感じるやさしさもまた、その物語の一部のように感じられます。

特にマグなどのカップ類は、釉薬を重ね掛けすることで、微細なグラデーションや奥行きのある表情を生み出しています。手に取る角度によって景色が変わるような繊細で豊かな質感も魅力で、日々の中の何気ない時間に、ふとした変化をもたらしてくれます。

現在は東京から、ご自身が大好きな街でもある尾道へ拠点を移され、制作を始められたばかり。海と坂のある穏やかな風景の中で、これからどんな物語が生まれていくのか、楽しみが広がります。
「100年先にも届いてほしい」そんな想いを込めながら、ひとつひとつ丁寧に生み出される、もりはるかさんの作品たち。暮らしの中でそっと寄り添いながら、静かなあたたかさを届けてくれそうです。
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